「あ、あなたなんか、と…また、こんなことを…」
「そうですか。じゃあ、やっぱり早いとこ終わらせましょう」
震える声で拒絶を告げる奈津子に淡白に答えて。やおら藤井は激しい勢いで腰をふりはじめた。

「ヒッ!? んんッ、ちょ、ちょっと待…、アッ、」
前のめりに潰れかかる体を必死に支えながら、奈津子が上擦った叫びを上げる。
「そ、そん、ヒ、いきなり、アアッ」
「早く終わらせるためですからね。少し我慢してくださいよ」
「い、いやッ、やめ…ヒイイイッ」
「お、ようやく可愛い声が出てきましたか。もっと聞かせてくださいよ」
「…クッ……んん……フ…」

揶揄されて懸命に唇を噛み締める奈津子。しかし荒々しい突き上げに押し出されるように、引き結んだ口の端から音が洩れる。


「…んッ…フ…んんッ…」
そして、その声は徐々に色彩を変えていく。
と、また唐突に藤井は苛烈な攻勢を止めて、深々と貫いていたものを半ばまで引き抜いた。
「フフ、グチャグチャだ。先生のジュースで僕のはベト濡れになってますよ」
「い、いや…」
羞恥の声を上げて、奈津子がかぶりをふる。肩や背があえぎをつき、体が微細な震えを刻んでいる。

「ホラホラ、ここはムズがるみたいに僕のに絡みついて」
愉しげに言いながら、今度はゆっくりとしたリズムで、藤井は腰を送りはじめる。
「…アッ、アッ…」
「“ここ”と同じに素直になってくれれば、お互いにもっと楽しめるのに」
「ヒイッ、あっ、ダメッ」
「わかってますよ。ここでしょう、ここが弱いんですよね」
「アヒッ、イヤッ、アアアッ」

大きなストロークで攻め立てながら、藤井が卑猥に腰をまわせば、奈津子の声は切迫して、ほとんど純粋な嬌声になった。

両肘が崩れ、机に突っ伏した横顔は上気しきって汗にまみれている。眼鏡ごしの双眸は潤んで、焦点をなくしていた。

「そろそろ率直な言葉を聞きたいですね。気持ちイイんでしょ? 奈津子先生
重く抉りこみ掻き回しながら、藤井が訊く。

机に頬を擦りつけるように頭を左右にふって、奈津子は精一杯の否定をあらわした。
「そうですか。まだ足りないというわけだ」
必死な抗いを哂った藤井は、汗にぬめる臀を掴んでいた手を、繋がった部分へとすべらせた。

立てた指を、ズブリと奈津子の後門に挿し入れる。
「ヒイイッ」
奈津子はギクッと顎を逸らして、甲高い叫びを迸らせた。
「い、イヤッ、そ、そこはっ」
「物欲しそうにヒクついてましたからね。ホラ、喜んで僕の指を食いしめてる」
悲鳴のような声を愉しげに聞きながら、藤井は指を注挿させた。

「アアッ、イヤ、やめて、そこは、アアッ」
「これもお好きでしたよね? 前後の穴を同時に責められるのが」
「ヒッ、アアッ、ダメ、ダメ、いやぁっ」
指の抜き差しに合わせて腰を使われれば、もう奈津子は噴きこぼれる声を抑えられない。構えも備えもなくした剥き出しの叫びを絶え間なく響かせはじめる。

きつく眉根を寄せキリキリと歯を食いしばった表情も、苦痛に耐えるというよりは、こらえがたい感覚を享受するように見えた。
「おが踊りはじめましたよ」
裸の臀が微かな揺動を演じだしたのを藤井が指摘する。

「い、イヤァッ」
泣くような声を上げて、奈津子は意識を裏切りはじめた体を必死に抑えようとするが。ズンと深く突きこまれれば、生臭いようなうめきとともに儚い抵抗は潰えて。再開する臀のうごめきは、いっそう生々しく卑猥なものに変わっていく。

「あぁ、こ、こんな、」
羞辱の涙が溢れ、弱りきったすすり泣きの声が洩れた。
「無理することないですよ」
口調だけは優しく、藤井がささやきかける。

先生のこの熟れた体が人一倍感受性が豊かなこと、僕は充分に承知してますからね」
奈津子の背に乗りかかるようにして、汗を滲ませた首筋に顔を寄せた。
「だから、素直な声を聞かせてくださいよ。キモチイイ、久しぶりの若いチ○ポ美味しいって」
「い、いやッ」

奈津子が激しく顔をふった。耳元に吹きかけられる藤井の息と卑猥な台詞を払おうとするように。
「…そうですか」
急に冷淡な口調に変わって。藤井は腰の動きを止めた。

「……あ…」
「やっぱり、もう以前のようには楽しめないということですかね」
不意の中断に訝しげな声を上げた奈津子の中から、また剛直を半ばまで引き抜く。入り口のあたりでユルユルと浅い注挿をくれると、グチュグチュと隠微な水音が響いた。

「アッ、あ、ハッ」
「残念だな」
舌足らずな、どこかもどかしげな声を断続させる奈津子に、藤井は淡々と言葉をつないで、
「じゃあ、やめにしますか?」
「……え…?」
奈津子はハッと眼を見開いて、後ろへとふりかえる。
「奈津子先生の気持ちはよくわかりましたし。このままじゃ、僕も楽しくはないんでね」
「あっ…」
さらにズルリと藤井は腰を引いて、奈津子から微妙な声音を引き出しておいて。
しかし、完全に結合が解ける直前で転進すると、一気に最奥まで貫いた。
「んっ、あああっ」
喜悦の─そうとしか聞こえない─叫びを奈津子は迸らせて、ガクガクと腹這いの肢体を震わせた。

だが藤井は、そのまま本格的な攻めを再開しようとはせず、反射的なのたくりをうつ熟れ臀の動きをかわしながら、また剛直を抜き出してしまう。ギリギリまで。
「アアッ、いやぁッ」
咽び泣きながら、必死に追いすがろうとする奈津子の臀をガッチリと押さえこんで、ヌプヌプと浅瀬を掻き回す。

「本当に、やめにしましょうかね」
「…フ…アッ…」
切ない息を弾ませながら、奈津子は潤んだ眼で藤井をふり仰いだ。半ば開いた唇が、逡巡にわななく。

微笑んで、藤井は、もう一度同じ行為を繰り返した。
奈津子の最終的な屈服を引き出すには、それで充分だった。
「や、やめないでっ」
奥深く嵌まりこんで歓悦の叫びをふりしぼらせたものが、またズルズルと後退しはじめたとき、奈津子は夢中で訴えた。

「つ、続けて、おねがいっ」
「ようやく、ですね」
口の端を歪めた藤井が、激しく腰を叩きつけた。
「アアッ、い、いいッ」
血の色を昇らせた喉を反らして、奈津子は手放しのヨガリ声を張り上げる。一度自制を崩されてしまえば、もう止め処もなく。

「いいっ、いいの、もっと、もっと突いてぇっ」
あさましい言葉を吐き散らしながら、狂ったように腰をふり臀を悶えさせた。
「フフ、そうでなくっちゃね。奈津子先生は」

淫欲に敗れた女教師を冷たく見下ろしながら、藤井はかさにかかって責め立てた。緩急をきかせた腰使いと穴を穿った指で、奈津子の官能を煽り立て、さらなる狂乱へと追いこんでいった。

「ああ、ダメ、私、もう…」
ほどなく、奈津子が切迫した声を上げて、ブルルと背をわななかせた。
「アアッ!? い、いやあッ」
だが藤井は、そのタイミングを待っていたかのように動きを止めて体を引いた。今度は完全に奈津子の中から肉根を抜き出してしまう。

「イヤ、いやよっ、藤井くん、やめないで、続けてッ」
半狂乱になって泣き喚き、掲げた臀をふりたくる奈津子を無視して後ずさると、手近の椅子を引いて腰を下ろした。

「邪魔なものは脱いで、じっくり楽しみましょうか」
膝にからんでいた下着とズボンを脱ぎ捨て、隆々と屹立したままのものを見せつけるようにしながら言った。

「あぁ…」
哀しげな吐息をもらして、奈津子がのったりと身を起こす。
「……全部、脱ぐの?」
「ええ。先生も随分汗をかいてるし。僕も、ちゃんと奈津子先生の体を見たいですしね」
「…………」
それ以上、奈津子は躊躇しなかった。上着を脱ぎ、腰にまるまっていたスカートを引き下ろした。藤井の指摘通り、汗で貼りついたブラウスを脱ぎ、白いブラジャーを外した。藤井の眼を気にするようすを見せながらも、手を止めることはなかった。

全裸にパンプスだけの姿になった。豊満な熟れ切った肢体が、明るい光の中に現れる。
「いいですね。どこも崩れていない。相変わらず、綺麗でいやらしいカラダだ」

「……いや…」
藤井の賛美に、奈津子は身をすくめ微かに腰をよじった。
白昼の校内で素肌をさらしたことに、わずかに理性を蘇らせたのか、
「……本当に…こんなことになるのは…いやだったのに…」
力無く、独り言のように呟いた。

「わかってますよ。僕との過去は忘れてしまいたかった。こんな関係に戻ることを、先生は本気で恐れていた」
でも、と、藤井は続けた。
「それだけでもなかったでしょう?」
「…………」
「それとも。やっぱり、ここまでにしときますか」

そう言いながら。藤井は招くように手を差し出した。
フラリと、奈津子が足を踏み出す。藤井へと歩みよっていく。
滑らかな白い背肌が汗に輝いている。歩みにつれて巨きな臀が揺れ弾み、汗とは違った濡れが内股にのぞく。
乱れながらもアップにまとまったままの髪型と、地味な眼鏡だけが、普段の姿の名残りだった。

その眼鏡も、藤井の手で外された。
「そのまま、跨っておいでよ」
奈津子の手を引き寄せながら、藤井が命じた。
ああ……と、恥辱と昂ぶりの混ざった息を吐いて。奈津子は言われるままに、ムッチリと肉づいた太腿を開いた。

藤井の両を跨いで、片手にとらえた剛直の上に臀をおとしていく。
熱く濡れそぼった秘苑に切っ先が触れたところで動きを止めて、藤井を見つめた。
「……忘れられなかったわ。あなたを」
心の奥底の秘密を明かすように告げて。奈津子は体を沈めた。

「フッ、ああ、は、はいってくるぅ」
ズブズブと、自らの重みで太い肉根を呑みこみながら、喜色に満ちた声を響かせる。
「ん、アアッ、深い、奥まで」
やがて藤井の腰に密着した豊臀をビクリビクリと震わしながら、奈津子は両腕で藤井の首にしがみつく。


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